「そろそろ社内業務をデジタル化しないとマズいよね」
「でも、SIerに頼むべき?それとも内製化した方がいいの?」
DXや業務システムの刷新を考えるとき、経営者や情シスの方が必ずぶつかるのがこの二択です。
どちらを選ぶにしてもコストはかかるし、失敗すれば現場の信頼も失墜。
そこで今回は、経営視点での「SIer vs 内製化」判断軸について、実例を交えながら解説します。
そもそも「SIer」と「内製化」ってどう違う?
- SIer(システムインテグレーター)
外部のベンダーにシステム構築や運用を委託。要件を伝えて“おまかせ”で作ってもらえる。建設に準えるなら、ハウスメーカーに作ってもらう感じですね。 - 内製化
自社でエンジニアやPMを確保し、システムを自分たちの手で開発・運用。プロダクト志向な企業に多い。こっちはDIYで家作っちゃう感じです。
どちらにもメリット・デメリットがあるので、「どっちが正解」というより会社のフェーズや方針に合った選択が重要です。
経営視点で考える「5つの判断軸」
① スピード感はどれくらい必要か?
- ✅ とにかく早く動き出したい → SIer向き
すでに実績のあるSIerなら、初期設計~構築まで一気に進めてくれます。
もし急いでいるなら、ベンダ選定の際に希望する納期を伝えておいて、そこに満額回答をくれるベンダを選べば良いです。 - ✅ 継続的な改善を前提にしたい → 内製化向き
1発で終わらせるのではなく、運用しながら改善していくなら内製が向いています。
例えばですが、最初の構築はSIerに任せるものの、自社の人間を開発メンバとして入れさせてもらって、勉強しつつ本番運用に向けた引き継ぎを受け、その後の保守開発は自社でやる、というところから徐々に内製化を進めていく企業さんも多くいらっしゃいます。
② 社内にIT人材はいるか?
- ✅ エンジニア・PMがいない → SIerが無難
要件定義や仕様検討は、経験がないと難易度が高いです。 - ✅ 技術に強い人材がいる → 内製化も視野に
特にプロダクト志向の企業やSaaS系企業は、技術チームの存在が意思決定の鍵になります。
③ 中長期で考えたときのコスト感は?
- ✅ 初期投資は抑えたい → SIerの方が読みやすい
見積もりが明確で、コストが事前にわかりやすいです。 - ✅ 長期的な運用・柔軟な変更が必要 → 内製化の方が安くなることも
仕様変更や改善を重ねると、SIerとの追加契約が重くなりがち。自社内で動けると、トータルでは安くなるケースもあります。定期的に訪れるバージョンアップ対応なんかも自分たちでやれるようにしておかないと、チャリンチャリンとベンダにお金が流れていってしまうことに。
④ 自社の「競争優位性」に関わるか?
- ✅ 社内業務の一部 → SIerで十分
業務効率化ツールや会計、勤怠などは、外部の標準パッケージで対応可能。 - ✅ プロダクトそのもの or 差別化要素 → 内製化すべき
例えばECサイトのUX、顧客管理システムなど、顧客体験や売上に直結する部分は内製の価値が高いです。
⑤ 社内の「ITに対する覚悟」はあるか?
- ✅ 文化としてまだITが浸透してない → SIerに任せるべき
情報共有や意思決定スピード、ITリテラシーなどがボトルネックになることも。 - ✅ 経営層も含めて“デジタルで勝負する”覚悟がある → 内製化は武器になる
トップが「ITはコストではなく投資」と考えている企業は、内製化で成果を出しやすい傾向があります。
成功例・失敗例から見る選び方
✅ 成功例(内製化)
ある中堅メーカーでは、社内に元SIer出身者を採用し、基幹システムを内製化。運用開始後も柔軟に改善できる体制が整い、ユーザー満足度が大幅アップ。年間で2,000万円近い外注コストも削減できました。
❌ 失敗例(SIer丸投げ)
一方、とある中小企業では「言った通りに作ってくれるだろう」と丸投げ。しかし要件定義が曖昧で、納品されたシステムは使い物にならず、結局使われないまま放置…。
もしSIerに開発を任せるとしても、要件定義から丸投げするのは得策ではないです。SIerに案は出させつつ、「どんなものを作りたいか(=仕様)」は最後は自分たちで決断する必要があります。
最後に:どちらも「戦略」次第で成功する
SIerでも、内製化でも、正解は一つではありません。
重要なのは、
- 自社のリソース
- 経営の方針
- システムの役割 この3つを冷静に見極め、どこに投資すべきかを判断すること。
迷ったら、「どこを自分たちの武器にしたいのか?」を軸に考えると方向性が見えてきますよ。
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